展覧会概要
みどころ

展覧会概要

行楽(こうらく)弁当から毎日のお昼ごはんまで、お弁当は私たちの生活の中に深く根付いています。行楽弁当など誰かと一緒に食べる共食(きょうしょく)のお弁当は、地域の共同体を維持しそのつながりを深めるソーシャル・ツールとして、日本古来、農耕社会のハレの場などにおいても重要な役割を果たしてきました。誰かが誰かのために作るひとり用のお弁当は、その一つ一つに作る人と食べる人をつなぐ物語があり、作る人から食べる人への贈りものともいえます。どちらのお弁当も食べる時や場など、その人を取り巻く状況をよく考え、食材をよく見て、食べる時間や空間をデザインするかのように、箱の中に丁度よく詰めていきます。

本展は、日本独自の食文化であり、人と人をつなぐ「おべんとう」をコミュニケーション・デザインの視点から捉え、その魅力を来場者自身が体験しながら発見できる空間を作ります。会場は、「おべんとう」から見えてくるコミュニケーション・デザインをテーマに、遊び心のある江戸時代のユニークなデザインのお弁当箱や、現代の作家たちのインスタレーション、参加型の作品などを展示します。
出品作家は、この分野の第一人者でもあるオランダ在住の“イーティング・デザイナー”マライエ・フォーゲルサングをはじめ、NHK番組「サラメシ」でも有名な“お弁当ハンター”の写真家 阿部了、“発酵デザイナー”の小倉ヒラクらを始めとしたアーティスト8名の予定です。大人もファミリーも楽しい、見る・聞く・触れる、参加体験型の展覧会です。

本展の4つのみどころ

みどころ1
歌って踊れる
「おべんとう」!?

本展はお弁当をテーマとした、小倉ヒラクの新作のアニメーション作品から始まります。親しみやすいキャラクターが登場するこの作品を見ることで男女年齢問わず、まずは来館者にお弁当のことを思い起こしています。口ずさみやすいメロディと歌詞、振り付けで、歌って踊ると自然とお弁当のことがよくわかる作品です。

小倉ヒラク《おべんとうDAYS》イメージスケッチ(参考)

小倉ヒラク《おべんとうDAYS》イメージスケッチ(参考)

みどころ2
「おべんとう」が生み出す
コミュニケーションに注目

お弁当を作ることや食べることが生み出す、日常のコミュニケーションに注目した作品を展示します。
読者からの「誰々にこんなお弁当を作ってあげたい」というお便りに応えて、大塩あゆ美がお弁当を作り、平野太呂が撮影し、読者にレシピとお弁当箱が届けられるプロジェクト《あゆみ食堂のお弁当》や、お弁当を黙々と食べる姿から、食べている人とお弁当を作った人との関係性にまで想いが馳せられるような阿部了の作品《ひるけ》を紹介します。

阿部了《ひるけ》

阿部了《ひるけ》2018年

《あゆみ食堂のお弁当》2017年 料理:大塩あゆ美、写真:平野太呂

《あゆみ食堂のお弁当》2017年 料理:大塩あゆ美、写真:平野太呂

また、お弁当を介したコミュニケーションをみることで、自分と自分の身の回りの世界との関係について、じっくり考えることができる作品も紹介します。
小山田徹は自身が日々実践する家族とのお弁当づくりのアーカイブ《お父ちゃん弁当》を展示します。保育園に通う弟のために、小学生の姉がお弁当の指示書を書き、父親である小山田がそれを作ります。その指示書に描かれた桜島の噴火や蛇行する川と三日月湖といったテーマは、夜寝る前に読んだ本や散歩のときに見つけた植物や虫から着想されることもあります。
森内康博は、中学生が親の手を借りず自分でお弁当を作る様子を子どもたち自身がドキュメンタリー映像にするワークショップを行い、そのプロジェクトを映像作品として展示します。

小山田徹《お父ちゃん弁当》

小山田徹《お父ちゃん弁当》2017年

森内康博《making of BENTO》イメージスケッチ

森内康博《making of BENTO》イメージスケッチ

みどころ3
参加体験型作品を通じて
「おべんとう」を再発見

お弁当が生み出すコミュニケーションに注目する作品の中でも、私たちの慣れ親しんだお弁当を、普段とは違う視点で捉える参加型作品を紹介します。
食べることをデザインするイーティング・デザイナーであるマライエ・フォーゲルサングは、お弁当の「触ることや見ることができない」側面、例えば人と人とのつながりや記憶、その未来像などを、生き生きとした物語として表現し、その物語に来館者を誘います。

マライエ・フォーゲルサング《intangible bento》 展示イメージ(参考)

マライエ・フォーゲルサング《intangible bento》
展示イメージ(参考)

マライエ・フォーゲルサング《intangible bento》 イメージスケッチ

マライエ・フォーゲルサング《intangible bento》 イメージスケッチ

北澤潤は、お弁当を「箱」と「布」によって自由にコミュニケーション空間を創出するツールとして捉え、美術館の中に、お弁当の「おすそわけ」マインドを考える《おすそわけ横丁》という異空間を作り出します。
来館者自身が、よくみて、考え、お弁当を再発見することができる実験室のような空間です。

北澤潤《FLAGMENTS PASSAGE -おすそわけ横丁》イメージスケッチ

北澤潤《FLAGMENTS PASSAGE -おすそわけ横丁》イメージスケッチ

みどころ4
遊び心のある
ユニークなお弁当箱

宴などの共食の場で使われたユニークなデザインが施された江戸時代のお弁当箱や、食べる状況に応じてデザインされたひとり分のお弁当箱、そして世界のお弁当箱の展示を通じて、目的に合わせてデザインされたプロダクトとしてのお弁当箱に注目します。

(出品予定)
江戸時代から昭和・現代までの日本のお弁当箱
・お辧當箱博物館所蔵、北区飛鳥山博物館所蔵、新宿区立新宿歴史博物館寄託、個人所蔵
アジア、アフリカ、ヨーロッパなどの世界のお弁当箱
・国立民族学博物館所蔵

楼閣型弁当(ろうかくがたべんとう)

楼閣型弁当(ろうかくがたべんとう)
新宿区立新宿歴史博物館寄託

白磁朱漆組合わせ瓢成り弁当(はくじしゅうるしくみあわせひょうなりべんとう)

白磁朱漆組合わせ瓢成り弁当
(はくじしゅうるしくみあわせひょうなりべんとう)
新宿区立新宿歴史博物館寄託